新型コロナウィルス罹患後症状

1.罹患後症状とその頻度

罹患後症状は、COVID-19 罹患後に感染性は消失したにもかかわらずに、急性期から持続する症状や、あるいは経過の途中から生じて持続する症状全般をいう。代表的な罹患後症状としては、倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳・痰、咽頭痛、胸痛などが知られている。またこの他に、精神障害、うつ症状、不安症状、頭痛、不眠などの精神科的症状や動悸、下痢、腹痛などあらゆる症状を呈する。

倦怠感、息切れ、嗅覚障害、不安、咳、味覚障害、抑うつ傾向の順に発現頻度が高い。

2.病態機序

 「罹患後症状」の病態機序は不明な点が多い。諸説あるが、ウイルス感染によるレニン・アンジオテンシン系の調節不全、ウイルス感染後の免疫調節不全による炎症の進行、ウイルスによる血液凝固能亢進と血栓症による血管損傷・虚血などが考えられている。

3.症状へのアプローチ

呼吸器系罹患後症状

呼吸器系の罹患後症状として、息苦しさや痰・咳などを見ることが多い。この咳に至っては、かなり長く続くのが特徴であり、自覚症状として患者を苦しめるものの一つになっている。そのためもあり、かかりつけ医での一般的な呼吸器の検査の後に、3~6か月経過しても安定を見ない場合には、呼吸器専門医での精査も必要になってくる。

循環器系罹患後症状

狭心症などの虚血性心疾患や肺血栓症、大動脈解離などのあらゆる循環器疾患を引き起こすこともあり注意が必要である。まずはかかりつけ医が循環器系の診療を行ったうえで、それでも正診を見いだせない時には、採血や画像診断などを再度見直したうえで、循環器専門医への受診に繋げることになる。もしもそれで、明確に循環器系との関連を示唆できない場合には、呼吸器系疾患と同様な長期間の観察を要する。

嗅覚障害を始めとする耳鼻科的罹患後症状

嗅覚障害などについては、コロナ感染後早期に出現することも多く、回復も比較的早い。しかしながら、嗅覚障害が比較的長く持続するケースでは、内視鏡的な観察や画像診断などでも異常所見がないことが多い。
味覚障害は単独で発症する事は比較的少なく、なんらかの他の問題点を合併することが多い。嗅覚・味覚障害を訴える患者に対して、COVID-19 発症後10 日間は感染リスクを考慮し、耳鼻科手的内視鏡検査、嗅覚検査、味覚検査は行わず経過観察が肝要である。

精神・神経的罹患後症状

精神・神経系の罹患後症状は、精神・神経系の基礎疾患や素因を基盤とするものもあり、基礎疾患の増悪との鑑別が必要。かかりつけ医からの不要な精神科受診勧奨は不安感を増悪させる場合もある。緊急を要する場合には、入院施設の整った精神科受診が好ましいとも思える。

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佐藤医院
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佐藤 公一
住所
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診療科目
内科・心療内科外科・消化器内科
電話番号
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